ものがたり


「紡ぎの家」のコンセプトは「居場所と出番」です。

およそ1000坪の敷地内では四季折々の自然を楽しむことができます。穏やかな時間が流れるこの場所をリフレッシュやリスタートしたい人々が、気軽に立ち寄れる空間として提供していきたいと考えています。

私たちは、人生の時々で苦悩や葛藤に出会い、それぞれの方法で解決の糸口を見つけていきます。人とのかかわりを通して強く感じることはたった一人でもいいから誰かの役に立ち、たった一つでもいいから何かの役に立っていると実感できたら、人は孤独を感じることなく、前を向いて歩いていけるのではないか、と言うことです。

一度きりの人生を自分らしく生きるために、「紡ぎの家」にかかわる人々が支える側、支えられる側の枠を越え誰かの、何かの、役に立てると感じることができる場づくりをすすめていきます。

「紡ぎの家 大島」の由来

南北朝時代、足利尊氏との戦いに敗れた新田義貞。その子万次郎と共に6人の武士が落ち延び、現在の地武州小室郷の中荻村に定住しました。これが大島家の先祖とされ約600年の時が流れています。江戸時代末期に建てられたこの屋敷は、明治時代まで養蚕を営んでおり、その名残を見ることができます。長い歴史を受け継いだこの家が新たな出会いの場として再生され、そこに集う人々が実りある人生を紡いで欲しい…。そんな思いを込め名付けました。

 

母屋の改築でお世話になった方々(敬称略)

設計 和設計事務所 代表 新居誠之 ・ 西本成志
 大工工事 長島建築 代表 長島英樹 ・ 千葉弘幸
基礎工事 隆清興業 代表 湯本訓哲
設備工事 矢部設備工業所 代表 矢部幸平
板金工事 内田建築板金 代表 内田髙幸
建具工事 内藤建具 代表 内藤太一
塗装工事 谷川塗装店 代表 谷川和久
左官工事 石井工業 代表 石井勇
畳工事 加藤畳店 代表 加藤昌之
クロス工事 岡本表具店 代表 岡本太郎
タイル工事 内村タイル工業 代表 内村正文
電気工事 斎藤電気 代表 斎藤秀行
外構工事 湯浅建材 代表 湯浅和彦

2014年3月 

 構想から3年、2014年春、母屋の改築工事が無事終了しました。屋根裏から大量の茅が出てきたり、柱の傷みが想像以上にひどかったりと・・・完成までにはたくさんの困難が伴いました。

家づくりは、大工さんをはじめ多くの業者さんが力を合わせてはじめてでき上がるんだと、改めて実感しました。

他にも、「紡ぎの家」プロジェクトに賛同してくださったみなさんが植栽、花壇づくり、お掃除、ホームページづくり、カフェのエプロンづくり等に力を貸してくださいました。この場を借りてお礼申し上げます。

みんなの思いが詰まったこの家が生まれ変わります。これからどんな出会いがあり、どんな人生がこの大屋根の下で紡がれていくのか、ワクワクしながらこの家とともに歩んでいきたいと思います。

 

2014年6月

 紡ぎの家大島がオープンし2024年6月で10周年を迎えます。

50代半ばだった紡ぎの家大島の店主は60歳半ばとなり、20代半ばだったcafeBLANCOの店長は30代半ばを迎えました。

一緒にはじめた仲間はそれぞれ老いと闘いながら、新しいスタッフは新鮮な風を吹き込みながら、それぞれの強みを最大限生かして日々忙しく働いております。

 2018年には国登録文化財に指定され、「NHK ふるカフェ系 ハルさんの休日」や「テレビ朝日 人生の楽園」といったメディアにも紹介していただけるようになりました。また、映画やテレビのロケ地としても利用していただけるようになりました。10年前には考えてもみなかったことが起きています。

 元々店主は、これまで職業として行っていた「相談業務」を自宅で細々できたらいいなあ・・・」というものでしたので「人生って何が起きるかわからない!」というのが実感です。

 

 当然ですが、この10年の歩みは順風満帆だったわけではなく、コロナの脅威にさらされたり、自宅が火事になったりと信じがたいことが起きたりしています。

 でも生きるってそういうこと・・・悲しいことも、悔しいこともみっともないことも、とりあえず受け入れて、もやもやしたり、腹が立ったり、許せなかったり、そんなふうに毎日もがきながら、しっかりご飯を食べて、人と話をしてぐっすり寝て、最後は笑って明日を迎えればいいのかなあ・・・と考えています。

 

 日々の積み重ねが次の10年へ・・・築200年の古民家カフェではなく、築210年、築220年の古民家カフェといえるように。